今年の1月東京理科大の学長に就任された藤嶋昭さんは、
中日新聞のインタビューで、
今年の新入生に
「自然界には不思議なことがいっぱいある。感動しよう」
と呼びかけたいとおっしゃっています。
ノーベル賞を受賞した下村脩さんは、
授賞式を前に行なった記者会見で、
「自然を見て自然に学べ。自然にもっと興味を持て」
と子どもたちへメッセージを送っています。
自然には学ぶことはいっぱいあります。
植物の知恵にはおどろくことばかりです。
森の学校では、
子どもたちが、自然とふれあい、そして感動する場面を
つくり続けていきたいと思っています。
以下、中日新聞の記事です。==============
http://www.chunichi.co.jp/article/technology/science/CK2010022302000141.html
<微聞積聞>自然の不思議に感動を
2010年2月23日
■東京理科大学長 藤嶋 昭さん
神奈川科学技術アカデミー理事長の藤嶋昭さん(67)が一月、東京理科大の学長に就任した。昨秋の行政刷新会議の事業仕分けでは科学技術に大きな注目が集まった。光触媒の発見者でノーベル賞候補ともいわれる藤嶋さんに、科学技術や大学をめぐる課題などについて聞いた。(榊原智康)
−事業仕分けでは科学技術予算の無駄が指摘された。
科学技術は短期的に考えてはだめ。論文や特許の数よりも、最終的にいかに人類に役立つかということが重要になる。物理学者のアインシュタインは、およそ百年前に相対性理論を発表したが、世の中のどんなことに役立つかは当時まったく分からなかった。だがその理論は今、カーナビゲーションの精度を上げることに大いに貢献している。基礎研究は役立つまである程度時間がかかる。長期的な視野を持って研究に取り組める環境を整えることが必要だ。
−科学技術分野の人材育成で大事なことは。
専門分野だけできてもだめ。一般教養も身に付けなければならない。さらに重要なのは、自然の不思議さに感動できること。葉っぱの表面に太陽光が当たるとなぜ水が分解するのか不思議に思ったことが、私の光触媒の発見の基になっている。感動を持てるということは、科学技術に取り組む上でポイントになる。
−正規職員に就けない博士号取得者が多い「ポストドクター問題」をどう見る。
日本の会社は、修士卒を中心に採用していて博士号取得者を嫌う。そこが一番欧米と違うところ。欧米では博士号を持っていないと研究者として認めないという風潮がある。日本は修士卒でいっぱしの技術者とみなされ、優秀な人が修士で就職することが多い。博士号取得者に対する企業での処遇を変えることが重要。この点を改善しないと優秀な人材が研究に入ってこない。
−光触媒技術は普及がますます進む。
光触媒にはセルフクリーニング(自浄作用)機能があり、建物の外装ではかなり使われるようになった。上海万博の日本館でも用いられる。室内の電灯でも使える可視光型光触媒の開発も進んでおり、将来的には普及するのではないか。インフルエンザウイルスにも効果があることが分かってきており、医療面などでも期待できる。
−学長となって若い学生たちとの触れ合いも増える。
四月には新入生が入ってくる。全新入生を対象にしたガイダンスの講義は私が担当したいと思っている。「自然界には不思議なことがいっぱいある。感動しよう」と呼び掛けたい。どんな新入生と出会えるか、今からわくわくしている。